スケッチ入門書その2

今回はアーバンスケッチを始めたい人におすすめの本を紹介します。

Sketch Now, Think Later: Jump Right into Sketching with Limited Time, Tools, and TechniquesMike Yoshiaki Daikubara

この本は英語で書かれていますがシンプルで読みやすい英語ですし、ステキなスケッチが多くてスラスラ読めます。

著者はアメリカと日本にルーツを持つ方です。そのためか、彼のスケッチはどこか日本的というか、わかりやすく、受け入れやすく、見ていて楽しくなるスケッチです。

本の装丁はモレスキンみたいにゴムのバンドがついたしゃれたものです。Kindle 版もでています(私はこちらを買いました)。ページ数は112ページです。

構成は6つの章からなっています。第1章が道具について、第2章は線画、第3章は水彩、第4章は仕上げ、第5章はスケッチの例の紹介で、そして第6章では注意点などについて語られています。

第1章の道具につては初心者へのアドバイスというよりは、どちらかというと著者の使っている道具の紹介といった感じで、ややマニアックな道具たちが並んでいます。パレットはサクラクレパスのプチカラー(の海外版 Sakura Koi)に3Dプリンタで仕切りを作ったもの、絵の具は主にホルベイン、水筆はぺんてる、万年筆はセーラーのふでDEまんねんとなかなかの日本びいき。また、スケッチ道具を持ち歩くカバンについて選ぶコツがのっていて参考になります。

サクラクレパス 絵の具 固形水彩 プチカラー 24色 水筆入り NCW-24Hサクラクレパス

第2章は線画について。著者はえんぴつでの下書きはせずに、直接ペンで線を描きます。時間の節約になるし、消せないから集中するからです。ほかに、パースの基礎、関心のあるものから書き始める、繰り返しや模様は省略する、シンメトリーのものは半分を描いてもう半分は説明や気になったところの拡大図を描くなどする、アングルや立ち位置を工夫するなどのコツが書かれています。そして、この章では日本のセーラー万年筆の商品、ふでDEまんねんが紹介されています。ちなみに、海外のスケッチャーでこの万年筆を使っている方は著者だけではなく、何人ものスケッチャーがブログや YouTube でこの万年筆を紹介しています。

セーラー万年筆 万年筆 プロフィット ふでDEまんねん 紺 特殊ペン先 10-0212-740セーラー万年筆

第3章は色についてです。前述の通り著者は水彩を使っています。そして、パレットは色の確認だけで混ぜるのは紙の上という方法で色を塗っているそうです。色の作り方として、ウェットインウェット、グレイズ、偶然の混色が紹介されています。

第4章は仕上げについてです。仕上げはその場でやっても後からやってもいいけれど、描き始めたからには仕上げるようにとのこと。スケッチにメモや説明を書くのもよいとのこと。例としてあげられているスケッチがとても魅力的で、ラテアートのスケッチでラテアートを作る手順について描いてあったり、動物園でのスケッチで動物の鳴き声をまるで漫画のようにポップに描き込んであったりととても楽しく、また参考になります。日付スタンプについても紹介されています。個人的には日付の書き方って国によって違うのでどうすればいいのか迷うところなんですが、著者はアメリカ式で、月(短縮型)、日、年の順のスタンプを使っているようです。スタンプに web サイトのアドレスも載せていて、さらにロゴのスタンプも作っていて、どれも素敵です。

第5章は著者のスケッチの紹介です。実際にどのような場所でどのようなポジションで、どのようなことに気をつけながらスケッチをしたのかが、いくつかのスケッチとともに紹介されています。

第6章はこの本のタイトルにもある “think later” 。この章では実際にスケッチする際に安全に気をつけることも紹介されています。人や車の流れを確認する、有名な観光スポットなら観光客の邪魔になってないか気をつける、スリに気をつける、音楽は聞かないなど、どれも参考になります。また、立ったままスケッチすると集中できるし安全とのことです。

最後にクイックスタートガイドと、著者の使っている道具の紹介がおまけとしてついています。

とても読みやすい本ですし、スケッチはポップで素敵ですし、読むとスケッチを始めたくなる本です。アーバンスケッチに興味を持った方におすすめの本です。

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