前回の記事でスウォッチカードを作ろうと思った経緯とスウォッチカード用のスタンプ作成について書きました。この記事では上記のスタンプを使って作ったスウォッチカードを紹介します。
私のスウォッチカードの紹介
スウォッチカードの項目
カード上部は絵の具を塗った時の実際の情報をまとめてみました。
- 実際の発色を絵の具が飽和した状態から薄まった状態までグラデーションで確認するためのスペース
- 透明度を見るために色を塗る前に引く線の目印
- 透明度を見るために、絵の具が乾燥してから 2. と同じペンで線を引くための目印
- リフティングがどの程度できるのかを確認するスペース
- 絵の具の伸びを見るためのスペース
カード下部はメーカーが出している情報をまとめました。また、絵の具のメーカーとその色の番号、顔料を右側に縦に並べてみました。
- メーカー名とブランド名
- 絵の具の名前(商品名)
- 絵の具の番号
- 透明度(後述)
- ステイニング(後述)
- 透明度など(後述)
- 粒状化する絵の具の場合まるを、しない場合はばつをつける
- ステイニング(後述)
- 耐光性を書くための空欄
- 顔料
使い方
- 水彩紙に耐水性のインクでスタンプする
- 場所2に透明度を見るための線を引く
- 絵の具の情報を記入する
- 場所1にグラデーションになるように絵の具を塗る
- 場所5を水で濡らし、右端に絵の具を置き自然に拡散させる
- 乾いたら場所3に透明度を比べるための線を引く
- 乾いてから場所4を濡らした筆でなぞりティッシュで絵の具をオフする
- 外枠に合わせて切る
スウォッチカードの管理
今のところ持っている絵の具の数が少ないので、無印良品の名刺用ファイルを使用しています。
メーカーごとの表記の違いにどう対応するか
透明度やステイニング、粒状化の有無、耐光性はメーカーによって表記の仕方が異なります。
たとえば透明度の表記に Schmincke、WINSOR & NEWTON(W&N)、SENNELIER などは四角を使っていますが、ホルベインや Daniel Smith(D.S.)は丸を使います。同じ四角を使っていても Schmincke と W&N は4段階なのに対して SENNELIER は3段階と異なります。そこで、四角に統一するのはやめて、丸印を使っているメーカーでは丸印を使うことにしました。また、QOR はステイニングの表記に丸を使っているので、QOR をもし買うことがあればステイニングの情報をのせるのにも使えると思いました。四角も丸も使わず数字やアルファベット表記のメーカーの場合は四角の中に書こうと思っています。
ステイニングは Schmincke 用の三角と、W&N と D.S. 用に S の文字を用意。W&N ではステイニングタイプの絵の具の場合に S に丸印をつけ、D.S. の場合は S の後ろにステイニングの度合いの数字を書くことにしました。
耐光性は空欄に記入することにしました。
スウォッチカードを作ってみて感じたこと
作っている時に感じたことは、5センチ四方のグラデーションを作るのは思っていたよりも難しくないということでした。これはもしかしたら Schmincke の絵の具の伸びの良さからくるものかもしれません。逆に難しいと感じたのは拡散を見る方法です。紙にのせる水の量や端にのせる絵の具の量の条件を揃えられていないと感じました。予想以上にリフティングできることにも驚きました。これは紙によるところが大きいのかもしれません。
出来上がったカードを並べてみて最初に思ったのは自分が持っている色の分布がわかって面白いということです。自分で思っていたより青から緑色が少ないなぁと感じました。これは私が普段持ち歩いて使っている色が限られているので、全体を把握できていなかったからだと思います。
次に、個々のカードを見ているうちに、透明度を見るのに使う線をもう少し工夫したほうが良いのかもしれないと思いました。たとえばネープルスイエローならば不透明具合がわかりやすいですが、暗い青のデルフトブルーはいまいち不透明具合がわかりません。このような色の透明度は実際に重ね塗りして実験してみたほうがいいのかもしれません。
ところで、色を並べて見ているととても楽しいです。粒状化色同士を並べてみると色によって粒の大きさに違いがあっておもしろいです。
そして、きっと同じ顔料のメーカー違いを並べるのも楽しいのだろうなと思いました。まだ届いていませんが通販したセヌリエの絵の具の中には PG50 などすでに Schmincke で同じ顔料の絵の具を持っているものがいくつかあります。買った絵の具が届いたら同じ顔料同士のスウォッチカードを並べて見比べてみたいです。
スウォッチカードを作る理由
わぁ、すてき!作ってみよう!が私がスウォッチカードを作った理由なのですが、もう少し真面目にスウォッチカードを作る理由を考えてみました。
絵の具の特徴を把握できる
スウォッチカードを作ると、メーカーが公表している絵の具のデータと実際に絵の具を塗ってみた時の特性、どちらも把握できます。
絵の具の特徴がわかればより効果的に水彩を使える
例えば技法の1つグレーズ(重ね塗り)をするなら不透明色は一層目に、二層目以降は下の色を活かせる透明色を使うのが一般的かと思います。あらかじめ絵の具の特性を把握していれば、例えば不透明色を重ねてしまって下の色を台無しにしてしまうなんてことを避けることができます。また、定着力が弱く透明度が高く粒状化色である manganese violet は最後に使ってテクスチャを追加するなどの使い方が考えられます。
拡散の程度を把握できれていれば濡れた紙に絵の具を置いた時にどの程度広がるか、どの程度となりの色と混ざるかをある程度予想することができるかもしれません。
自分ができていないことを書くのもなんだか恥ずかしいですが。
持っている絵の具を比べられる
自分が持っている絵の具の全体像がわかるので、どの色が足りないかがわかります。
また、色同士を並べて見比べることができます。似た色と思っていてもどちらがより warm か cool か、透明か不透明かなど、並べて比べてみることでより特徴を理解できるような気がします。
なによりも楽しい
色とりどりのカードはみているだけで楽しいです。こんなに絵の具を持っているんだという満足感も味わえます。というわけで、スウォッチカードつくりはとてもおすすめです。絵の具を持っている方はぜひ挑戦してみてください。
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