水彩覚書：warm color と cool color

絵の具のセットについて調べているときに疑問に感じた warm と cool について調べてみました。

六原色
1. 各メーカーの六原色
2. 六原色の構成
Warm color と cool color
おわりに

六原色

水彩を買ってみようと思ったとき、最初に三原色だけ買ってみることを検討する方は多いと思います。三原色は混色することであらゆる色を作れる組み合わせのことで、絵の具のような減法混合法（Subtractive color model）の場合、シアン、マゼンタ、イエローの3色になります。

ところで、各絵の具メーカーの基本色を調べると、六原色を設定しているところがあることに気がつきます。

各メーカーの六原色

WINSOR & NEWTON Professional Water Colour

Winsor Lemon
Winsor Yellow
French Ultramarine
Winsor Blue (Green Shade)
Permanent Rose
Scarlet Lake

Schmincke HORADAM

Lemon yellow
Cadmium yellow light
Cadmium red light
Permanent carmine
Ultramarine finest
Prussian blue

DANIEL SMITH

Hansa Yellow Light
New Gamboge
Quinacridone Rose
Pyrrol Scarlet
Phthalo Blue GS
French Ultramarine

六原色の構成

どのメーカーも黄、赤、青を2色ずつ揃えています。Schmincke HORADAM はその2色に、warm か cold とカッコ書きしています。この warm と cold (cool) とはなんだろうと思ったので調べてみました。

Warm color と cool color

色から受ける印象

文化によって変わる部分もありますが、橙は元気な暖かい印象を与え、青は落ち着いた、冷たい印象を与えます。このように暖かい印象の色と冷たい印象の色があります。最初にこれを分けたのは 18世紀のイギリス人、Moses Harris です。彼は著書『Natural System of Colours』でこの概念について書きました。

下記の表は、一般的な warm color と cool color の印象です。

warm color	cool color
手前に感じる	遠くに感じる
大きく見える	小さく見える
興奮、エネルギーがある	悲しい、憂うつ、おちついている

Warm color と cool color の境目

黄色や橙、赤が warm color で、青が cool color なのはなんとなくわかります。では、warm と cool の境目はどこでしょうか。色を12色に分けてぐるりと輪にした12色相環で考えると、その境界は黄色と黄緑色の間、赤紫と青紫の間になります。つまり黄緑色は cool color になります。紫色は、赤紫色は warm color、青紫色は cool color という具合にわかれます。

もっとも warm な色、もっとも cool な色

もっとも warm な色は赤みがかった橙、もっとも cool な色はその補色である緑みがかった青です。

Warm か cool かは相対的

Warm か cool かは相対的な概念でもあります。つまり、青色の中でも赤に近いものは比較的 warm であり、青緑色に近いものは比較的 cool な青色と言えます。

混色のときの参考に

青色と赤色を混ぜて紫色を作りたいとします。そのときに色が近いものを混ぜた方が鮮やかな色ができます。cool な赤とwarm な青を混ぜればいいのです。黄色と青色を混ぜて緑色を作るときは cool な黄色と cool な青色を選べば他の組み合わせよりも鮮やかな緑色ができます。これが三原色よりも六原色が優れている点です。